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コリーと薬について

多くの犬種には有効であっても、コリーには副作用がでる危険がある薬が幾つかあります。あやまって投与され、最悪の結果につながってしまった例は多数あります。
何故、他の犬種には良くても、コリーには危険なのか?
その理由は遺伝子(MDR1遺伝子)にあります。難しい話は省略して大雑把に説明すると、多くのコリーは薬剤が脳に侵入するのを防ぐMDR1遺伝子が欠損しているため、ある構造を持った薬を投与した場合、その薬が脳に作用し、重篤な神経症状を引き起こしてしまうのです。
全てのコリーがMDR1欠損かというと、そうではないのですが、欧米のデータではコリーの7〜8割に相当すると言われています。日本のコリーは血統のバリエーションが狭いので、更に高い割合なのではないかと思っています。

日本国内においてコリーの飼育頭数が少ないため、獣医師の多くが「コリーに投与することが危険かもしれない薬」について熟知していないのが現実です。フィラリア予防薬のイベルメクチンについては良く知られているところですが、その他の薬についてはほとんど知られてないといっても過言ではないでしょう。
愛犬を守るのは飼い主さんの義務です。誤って危険な薬を投与されないよう、新しい薬が処方されたら勇気を持って一言、「コリーに投与しても安全な薬なのかどうか」を確かめてください。良心的な獣医師であれば、念のため調べてくれるはずです。

参考までに、コリーと薬について海外のサイトの情報をもとにまとめてみました。翻訳等、ご協力くださった皆様、ありがとうございました。
なお、下記一覧には原材料としての薬剤名だけを記載しました。薬の多くは「商品名」で流通しています。「薬剤名=商品名」ではありませんので、必ず、薬剤名で確認してください。

また、少ないながらも、MDR1遺伝子に欠陥を持たないコリーもいます。その場合、投与に問題はありません。愛犬はどうなのか、遺伝子検査により判断できるようになりました。心配な場合は、あらかじめ検査しておくとよいと思います(動物病院か、調査機関に直接依頼)。

危険度が高い薬

もっとも危険度が高い薬です。遺伝子に欠陥があるコリーには決して投与してはいけません。

薬剤名    使用目的  備 考
Ivermectine イベルメクチン 抗寄生虫フィラリア駆虫  
Doramectine  ドラメクチン  
Abamectine  アバメクチン  
Loperamide  ロペラミド 下痢止め  
Emodepside  エモデプシド 抗寄生虫線虫薬  猫用スポット剤


※抗寄生虫薬(フィラリア駆虫薬)の上の3つは良く知られているのですが、下痢止めとして多用されるロペラミドは要注意です。古くからあるもので、安全性が高いとされるため、頻繁に使われます。
過去に「下痢になったので病院に連れて行き、下痢は治ったものの、足元がふらついたり、動きがおかしい」という相談を何件か受けたことがあります。処方された薬剤を伺ってみたところ、ロペラミドを含む下痢止め薬でした。即投薬を中止してもらったところ、幸い症状は治まり、その後は異常なく済みました。投薬量が多ければ、危険だったかもしれません。
エモデプシドは猫用スポット薬に使用されていて、商品名は「プロフェンダースポット」です。猫を飼っていて、この薬を使用している場合は厳重に管理してください。

慎重投与が必要な薬

投与量や投与のタイミングについて、慎重にすべき薬です。過剰にならないように注意深く投与し、経過を慎重に観察しながら使用すべき薬です。

薬剤名    使用目的  備 考
Milbemycine ミルベマイシン 抗寄生虫フィラリア駆虫  
Moxidectine モキシデクチン  
Metoclopramide メトロプラミド 制吐薬 商品名プリンペラン
Metronidazole メトロニダゾール 抗生抗寄生虫薬 商品名フラジール
Spinosad スピノサイド 駆虫薬ノミマダニ 商品名コンフォティス

Acepromazine

アセプロマジン 麻酔前投与薬

Butorphanol

ブトルファノール 鎮痛鎮静薬 咳止め
Vincristine
Vimblastine
Doxorubicine
ビンクリスチン
ビンブラスチン
ドキソルビシン
抗がん剤
Vincamine ビンカミン 血流改善薬

Domperidone

ドンペリドン 制吐剤


※ミルベマイシン、モキシデクチンはフィラリア予防薬として代表的な薬です。過剰投与しなければ安全性が高いとされています。
メトロプラミド(プリンペラン)やメトロニダゾール(フラジール)は良く使われる薬です。どちらも過剰投与しなければ危険性は少ないとされるようですが、一部の研究機関ではフラジールは通常投与量でも危険な場合もあるとしています。
当犬舎では過去にプリンペラン、フラジール、ブトルファノール(咳止めとして)の投薬経験がありますが、いずれの場合も投薬による影響と思われる症状はありませんでした。ただし、遺伝子検査をしていませんので、幸い薬剤に対してセンシティブ(感受性が高い)でなかった可能性もあります。



要注意な薬

安全とは言い切れないが、投与による事故の報告がない薬。念のため、投与に当っては注意を払い、投与後の観察が必要です。

薬剤名    使用目的  備 考
Selamectine セラメクチン 抗寄生虫薬

Cyclosporine

シクロスポリン 免疫抑制剤
Digoxin ジゴキシン 心臓病治療薬

Doxycycline

ドキソサイクリン 抗生物質
Morphine
buprenorphine
fentanyle
モルヒネ
ブプレノルフィン
フェンタニル
鎮痛剤


※セラメクチンは危険度が高いアバメクチンと同系の薬ですが、半合成法により製造されるため、危険度は低いとされます。
シクロスポリンはアトピカという商品名でアレルギーの治療薬として汎用される薬です。
ブプレノルフィンは当犬舎で使用経験がありますが(座薬として)、中毒症状は出ませんでした。ただし、MDR1感受性については確認していません。



危険性が報告されていない薬

投与による影響が報告されていない薬です。

薬剤名    使用目的  備 考

Erythromicine

Gerpafloxacine

Sparfloxacine

エリスロマイシン
グレパフロキサシン
スパルフロキサシン
抗生物質
Dexamethasone デキサメゾン ステロイド系抗炎症薬  

Paclitaxel

Dactinomicine

Mitoxatrone

パクリタキセル
ダクチノマイシン
ミトキサントロン
抗ガン剤

Phenitoine

フェニトイン 抗てんかん薬

Digoxin

Digitoxine

Quinedine

Diltiazem

Verapamil

ジゴキシン
ジゴトキシン
キニジン
ジルチアゼム
ベラパミル
心臓血管薬

Oestradiol

エストラジオール ホルモン剤

Cimetidine

シメチジン 抗潰瘍薬  

Ranitidine

ラニチジン 抗ヒスタミン剤  

Ondansetron

オンダンセトロン 制吐剤  

※エリスロマイシンは当犬舎で投与経験がありますが、異常はありませんでした。ただし、MDR1遺伝子の検査はしていませんので、感受性については不明です。



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